アトピー咳嗽(がいそう)
アトピー咳嗽は、慢性的に咳だけが続く気管の病気です。
あれ?咳喘息とどこが違うの?と思われた方もおられると思います。実は1文字だけ違っています。よく見てみてください。咳喘息は「気管支の病気」であり、アトピー咳嗽は「気管の病気」なのです。(わかりやすく言うと、)
原因も咳の症状も全く咳喘息と同じなのです。ですから、この2つの病気を初診時で鑑別することは、ほとんど不可能といえるでしょう。唯一、アトピー咳嗽と診断できるのは、初診時に処方させていただいた気管支拡張薬の効果がなかった場合です。
そして、抗ヒスタミン薬(H1受容体拮抗薬)または/および吸入ステロイド薬に効果があった場合です。
ということは、治療してみないと診断できないってこと?と思われるでしょう。悲しいかな、その通りなのです。こういう場合を、「治療的診断」といいます。(決して言い訳ではありません)
アトピー咳嗽の診断基準を記載しておきますが、診断基準自体がそういう考え方なのです。
- 喘鳴や呼吸困難を伴わない乾性咳嗽が8週間以上続く(咳喘息と全く同じ)
- 気管支拡張薬が無効である(治療してみないと分からない)
- アトピー素因を示唆する所見(注①)を1つ以上認める(咳喘息でもアトピー素因は多く認めます)
- 抗ヒスタミン薬(H1受容体拮抗薬)または/および吸入ステロイド薬にて咳嗽発作が消失する (治療してみないと分からない)
※注 アトピー素因を示唆する所見
- 喘息以外のアレルギー疾患の既往または合併
- 末梢血好酸球増加
- 非特異IgE値の上昇
- 特異的IgE陽性
ですから、当クリニックでは最初の投薬は1週間程度と決めています。そして、薬の効果を必ず確認していますので、ご安心ください。また、咳喘息と違って、アトピー咳嗽が気管支喘息に移行することはありませんが、しばしば再発を繰り返します。
