塵肺(じん肺)
鉱物、金属、研磨材、炭素原料、アーク溶接のヒューム等の粉じんを吸入すると、比較的粒子の大きなものは鼻孔や気管支等に付着して「たん」となって体外に排出されますが、微細な粉じんは肺の奥深くの肺胞(肺の奥にある小さな袋状の部分)にまで入り込み、そこに沈着します。
これらの粉じんを吸い続けると、肺内では線維増殖が起こり、肺が固くなって呼吸が困難になります。これがじん肺です。
塵肺の症状・所見
粉じんを吸い始めてから発症まで、早くても数年はかかります。最初は自覚症状がありませんが、痰や咳が出始めるころにはかなり病気が進行し、続いて息切れや呼吸困難となります。
また、肺全体に小さな粒状の影が認められますが、進行すると結節影を形成し肺癌との区別が困難なケースも見受けられるようになります。またじん肺は、肺結核の発症のリスクが非常に強いため、痰などが出る場合は肺結核の診断あるいは除外診断が必要になってきます。
塵肺の治療
ベリリウムによるものはステロイド剤が有効です。その他は根本的な治療方法にはなりません。気管支拡張剤(ホクナリンテープ、セキナリンテープ)を張り、肺内の分泌物を排出する粘液溶解剤などで気道を清潔保ち呼吸しやすくすることが治療の中心となります。
粉塵を吸う仕事歴のある方は、じん肺の治療等の経験豊富な当院に一度相談してください。
